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最高裁判所第三小法廷 昭和37年(あ)2024号 決定

主文

本件上告を棄却する。

理由

弁護人免出砿の上告趣意第一点は、事実誤認および単なる法令違反の主張であって、上告適法の理由に当らない。なお、刑法九六条ノ三の二項は、競売等の公正を害する危険のある行為を取締ることを目的とするものであるから、本罪の主体は、多くの場合、競買等の希望者であろうが、これに限られる必要はなく、自らはその希望者をもたないものであっても、自己と特別な関係にある競買等の希望があって、これに影響を及ぼすことのできる地位にあるものであれば足るものと解するのが相当である。

同第二点は、事実誤認および単なる法令違反の主張であって、上告適法の理由に当らない。なお、本罪が成立するためには、競買等の希望者全員が談合に参加することは必要でないものと解するのが相当である。(昭和三〇年(あ)第二七一八号同三二年一二月一三日第二小法廷判決、刑集一一巻一三号三二〇七頁参照)。

また記録を調べても刑訴四一一条を適用すべきものとは認められない。

よって同四一四条、三八六条一項三号により裁判官全員一致の意見で主文のとおり決定する。

(裁判長裁判官 五鬼上堅磐 裁判官 石坂修一 裁判官 横田正俊 裁判官 柏原語六 裁判官 田中二郎)

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